第22章 契約の巻物と流言

アリシアはもう一度、魔法素材の買い付けリストを書き直して執事に渡した。品数は多いし、値も張る。けれど蜘蛛糸布の前金がある。公爵家の財布に手を突っ込む必要はなかった。

翌日、執事はきっちり揃えて届けてきた。しかも封書を一通、添えて。

母――公爵夫人からの手紙だった。ちゃんと食事は取っているか、学院ではうまくやれているか。来月には戻るつもりだ、と。

それを読んだ瞬間、アリシアは遅れて気づく。

記憶の中の「公爵令嬢のアリシア」は、母と仲が良かった。離れていても頻繁に文を交わすほどに。なのに自分は、その前提をすっかり失念していたのだ。

彼女はペンを取り、元のアリシアらしい口調をなぞるように...

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